OpenAIが米国内国歳入庁(IRS)に提出した2024年度の開示書類で、ミッションステートメントから「安全に(safely)」という文言が削除されていたことが判明した。ミッションステートメントは組織の方向性や価値観を示す要素であり、その変更は外部から注目を集めやすい。今回の報道は、同社の営利化への転換を背景とした文言の変化に焦点を当てた内容である。
OpenAIのミッションステートメントは年を追うごとに変化している。2016年に提出された最初のミッションステートメントには、「OpenAIの目標は財務的リターンの必要性に縛られることなく、人類全体にとって最も有益な方法でデジタル知能を進歩させることです。世界が安全なAI技術を構築し、AIの恩恵が可能な限り広く均等に分配されるよう支援したいと考えています」と記されていた。
2018年のミッションステートメントでは、「より大きなコミュニティの一員としてAIを構築しようとしており、その過程で計画と能力をオープンに共有したいと考えています」という部分が削除された。
2024年度提出分では大幅に簡略化され、「OpenAIの使命は、AGIが人類全体に利益をもたらすのを確実にすることです」という一文のみとなった。この変更により、「財務的リターンの必要性に制約されず」といった非営利団体としての姿勢や、「安全」を重視する方針の明記がなくなった。
この変更は、OpenAIが非営利団体から営利企業への構造転換を進める時期と重なっている。OpenAIは2024年に株主の利益追求を第一に置く営利企業主導の体制への転換を発表したが、多方面からの反発を受けて断念された。その後、2025年10月の組織再編により、非営利団体の下に公益法人(PBC)であるOpenAI Group PBCが置かれることになった。同社は2026年中の新規株式公開(IPO)を狙うなど、営利企業としての性質を徐々に強めている。
タフツ大学の経営学教授であるアルヌール・エブラヒム氏は、このミッションステートメントの変更について、OpenAIが自社製品の安全性よりも利益を優先していることを明確に示していると指摘している。
本件は、製品やサービスの直接的な脆弱性情報ではなく、公開文書の表現変更に関する指摘である。しかし、AIを取り巻く議論では安全性への姿勢が重要視されることもあり、ミッションステートメントの言い回しの変化は、利用者や関係者が企業姿勢を読み取る材料になり得る。削除された「安全性」への懸念から、規制当局による監視や現在進行中の訴訟への影響が強まる可能性も指摘されている。
OpenAIのミッションステートメントから「安全に」に関する文言が削除されたとの指摘が報じられた。この変更は同社が非営利団体から営利企業への構造転換を進める中で行われたもので、企業の安全性に対する姿勢の変化を示すものとして受け止められている。